久しぶりに書く。

イスラエルはイランを空爆すると思う。

時期を予測するのはとても難しいし、ここまで具体的に予測するのは危険でもあるが、敢えて「今年の9月」と言っておこう。

その後何が起こるか?

飛行ルートの意味についてよく考えることにしよう。

個人的な見解だが、mattは佐々木敏さんの見解にある程度賛成だ。

安倍首相が辞任を決めたのは、APEC首脳会議出席のため今月 Sydney に滞在していた折に、アメリカ人から「辞めろ」と言われたからだと考える。

「辞めろ」と言われなければならない理由を公開できないために、「テロ特措法延長に対する民主党の反対」を口実にしたのだと考える。

その「公開できない理由」が佐々木敏さんの言うように、「拉致被害者が既に死亡していること」なのかどうかまでは、mattには見当がつかない。


もう一つ言っておこう。

中国共産党政権は、安倍首相辞任報道後、次の姿勢で一貫している。

「安倍首相が開いた日中接近路線を継続してほしい」

安倍首相は昨年11月、首相就任後の最初の外遊として北京訪問した。訪米でなく訪中を最初の外遊にした最初の首相だ。

今年の8月には靖国神社に参拝しなかった。

しかし、そういう分かりやすい話だけではない。

根本的には、中国共産党政権の側が日本への接近を必要としているのだと考える。米朝接近とのバランスを取ることと、日本の対米支援を妨害することと、この2つが目的だ。


それもこれも、佐々木さんの言う「中朝関係の冷却化+北朝鮮による核実験は対中共政策」を前提とすると、単純明快に理解できる。

8月10日(金)付 産経新聞1面トップ記事は「米の協調路線 背景に金総書記メッセージ 『米のパートナーになる』 中国 米主導を警戒、対日接近」という見出しの付いた記事だった。


要旨はこういうものだ。

(1) 北京の中国戦略関係筋が産経新聞社に接触した。

(2) 接触時期は8月7日以前。

(3) 接触してきた人物は「機密情報に接し得る高位の人物」

(4) 接触してきた人物が明かした情報の内容:
・金正日が2006年10月核実験後 George Walker Bush にメッセージを送った。
・メッセージの内容は「朝米関係を正常化し韓国以上に親密な米国のパートナーになる」というもの。
・このメッセージが米国の対北朝鮮姿勢を転換させる契機になった。
・中国指導部は米朝正常化は不可避と分析している。
・この米朝接近策は Condoleeza Rice と Christopher Robert Hill が立案した、と見ている。


記事中に書いてある産経新聞(中国局長伊藤正氏)の見解は、

・事実ならニクソン・ショック以上の衝撃

・2006年10月末6カ国協議以来、アメリカが対北朝鮮接近を進めている状況を説明している。(ただし、未確認と記事は明記している)


この記事と、佐々木敏さんの「中朝戦争」シリーズと、そして安倍首相辞任騒動とを見比べていると(特に中国共産党政権の安倍首相辞任に対する反応を見ていると)、熱い戦争まで行くかどうかはともかく、中国共産党政権と金正日政権との関係が冷え切っていることは間違いないと考える。

反論は多いだろうし、確実な物的証拠があるわけでもないが、はっきり言っておこう。

mattは、「アメリカは覇権を維持するために、日本を改造しようとしている」という見解を持っている。

それはかなり進行していて、官僚機構が裁量権を駆使して経済活動をコントロールする手段は次のようにかなり取り除かれてきている。

(1) 1998年成立、2001年施行の中央省庁改革
→ 旧大蔵省から金融局を取り外し、金融監督庁として独立させ、内閣府管轄とした。内閣府の主務大臣は首相なので、首相が金融行政を直接左右できるようになった
→ 法的根拠の無い事務次官会議の合議で決めた閣議議案を各省大臣から発議させる方式をやめ、閣議での発議権を首相に独占させることにより、閣議決定経由で官僚機構が立法過程に介入するのを難しくした

(2) 2006年成立、2007年施行の郵政民営化
→ 株式会社化後、最終的に政府保有株式を売却することにより、官僚機構の思い通りに財政投融資=特別会計を配分できなくさせる。(最終的に財政投融資は無くなる)

去年から今年にかけて安倍政権下では、「公務員天下り」が改革の対象となっている。

「人材交流センター」だかなんだか知らんが、「天下りの防止」が焦点になっているのはまちがいあるまい。

・特殊法人や無数の公益法人(財団法人や社団法人と名前のついた団体の大半)の総裁・理事長・理事などのポスト
・建設業界や運輸業界など規制の厳しい業界の民間企業取締役ポスト

こういったところへ人を出せなくさせ、その前提として、「予算をつける手段」を奪う。

だから財政投融資を配分する権限も取り上げてしまう。

前の投稿で、日本政策投資銀行と国民生活金融公庫の次期総裁が誰になるか注目しているのは、いわゆる「第三セクター」問題などを通して、財政投融資配分の問題だと見ているからだ。

問題の所在は多岐にわたっている。改革の動きも渾然一体だ。外から見ると分かりにくい。


今後、「主計局の消滅」が焦点になるときがいずれやってくると考えている。

経済同友会が4月に「中央政府の再設計」と題した提言書を公開した。

http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2006/070409a.html

予算案(配分)を各省庁で自己評価した上で、予算案を「わかりやすく」一般向けに情報公開し、同時に上述の国家戦略本部に事後評価・監視させて政策目標の達成度を評価させ、また「決算査定」を行う、と提言されている。

従来の日本の官僚機構では、各省庁が作成した次年度の予算案原稿を財務省主計局で細部まで査定し、その査定があって初めて予算案となる。主計局に事実上全ての役所が財布を握られている。

それをぶち壊せという内容が含まれている財界団体の意見書だ。


ちなみに、これも反論があるかもしれないが、言っておく。

mattは、(アメリカの差し金で)日本の経済活動自由化を推進する動きの背後に日銀がいると考えている。

もっとはっきり言おうか。

日銀はアメリカの手先だ。

お断りしておくが、彼らはもちろん分かってやっている。最強の覇権国家とぐるになるしか道は無い、と明確に意識して行動しているはずだ。

それから、財界で最も日銀寄りなのは経済同友会だとも考えている。


少し話しがずれるが、政策形成過程に職業的に関与したい向きには、これからは大学院修士課程以上を修了した上で民間の調査研究機関或は(一部の)大学で腕を磨くのが近道になるのではないかと予想する。

予算案の細部まで本当に情報公開された上で事後評価まで内閣府がしてくるのなら、民間の調査研究機関の仕事は劇的に増えるはずだ。

8月27日(月)に内閣改造だそうだが、mattとしては今回はとても注目だ。

閣僚よりも、そして(来年3月交代の)日本銀行総裁人事よりも、日本政策投資銀行総裁と国民生活金融公庫総裁の人事に注目している。

それは、安倍内閣は小泉内閣以来の「官僚機構の権限縮小+経済活動自由化」路線を継続しようとしている、と考えているからだ。

今月話題になった防衛省事務次官人事も、2002年7月22日に小泉首相が事務次官会議で述べたこと(事務次官人事は今後官邸が行う、という発言)をそのまま実行していると言うことに過ぎない、としか見えない。

メディアは理解してか理解せずしてか色々言っているが、「官僚機構から裁量権を剥ぎ取る」過程が着実に進められている、というのがmattの解釈だ。

一昨日の産経新聞の一面トップ記事は、「北朝鮮が『アメリカのよきパートナーになりたい』とアメリカに告げた」という内容のものだった。

ちょっと荒唐無稽かとも思ったが、よくよく考えると...

佐々木敏さんの説に沿っている...

この見解には反論が多いかもしれない。

柏崎原発の火災と破損について批判がかまびすしいが、mattから見ると、耐震設計が見事に機能しているようにしか見えない。

日本海の海底に顔を出している断層が陸地の下まで伸びていることがこれまでわかっていなかったのは、確かに不安ではある。

しかしだ。

活断層のずれによる直下型地震の直撃を受けて「想定以上の揺れ」に合っても、重大な放射線漏出が起こらなかったのは、特筆していいと考える。

個人的な意見だが、長期的に見ると、日本の原子力産業に対する高い評価につながる可能性があるのではないかと思う。

日経産業新聞にGEの動向が載った。全文を掲載する。

7月13日(金) 4面
「GE、中東事業を重点拡大 売上高、2010年にも2倍の110億ドル目指す」

(Quote) 【カイロ=金沢浩明】米ゼネラル・エレクトリック(GE)が中東を重点地域として事業を拡大し始めた。原油か価格上昇と人口増に伴う政府主導の大型開発計画ブームでビジネスチャンスが膨らんでいるためだ。設備・機械の受注だけでなく、金融やコンサルティングにも力を入れるなど大型プロジェクトに対してリスクの少ない形で参加する工夫も凝らし始めた。

 GEの中東地域の売上高は二〇〇一年の十三億ドルから昨年には五十五億ドルに増加した。ナビル・ハバエブ中東アフリカ地域最高経営責任者(CEO)は「今後も毎年二割は伸びる」と判断。二千十年には百十億ドル規模を目指す考えだ。

 同社はアラブ首長国連邦(UAE)ドバイの最大の外資進出拠点であるジュベルアリ自由貿易地区から、水供給施設の運営・維持を五億五千万ドルで受注した。これには日系大手企業のドバイ事務所長も「電力中心と思っていたら水関連事業も本格化するのか」と驚きを隠さなかった。

 中東では今後五年間、海水淡水化計画への投資額だけで二百五十億ドル以上とされ、水関連市場への期待は大きい。GEはサウジアラビアで移動型淡水化装置の供給サービスを地元有力財閥タミミ・グループと合弁で始めるほか、浄水用化学品の製造プラントを年内に東部で稼動する予定。

 中東最大の経済規模であるサウジが各地で大型新都市開発に乗り出したのを受け、GEは特に力を入れる構えだ。

 GEは一九三〇年代にサウジへ発電機を納入するなど中東事業の歴史は長いが、「ここにきて市場への見方を抜本的に変えた」(ナビル中東アフリカ地域CEO)と打ち明ける。

 各国政府が石油収入を自国や域内の開発投資に向け始めたため、インフラ受容の増加が長期的に続くと判断。最重点地域として「各国の経済政策を支援する形で事業を進める」(ジョン・ライス副会長)方針を打ち出した。

 プラスチック事業のサウジ基礎産業公社(SABIC)への売却はその一例。競争力のある石油化学産業の育成というサウジの国策に協力。ライス副会長は「パートナーシップのレベルが上がった」と胸を張る。

 空港の新設・拡充計画ラッシュに対してGEは設計から資金調達、システムや設備の選定まで含めたコンサルティング事業を提案。各国政府に売り込み、今後五年で複数の受注を得る目標を掲げる。

 ドバイの新都市計画では消費者金融部門が住宅や自動車ローンの提供で協力し、住居・商業施設の営業活動を支援する。

 ただ中東各国が進める新都市開発やインフラ整備計画には将来の油価動向や政治情勢などのリスクもあり、「半分でも計画が実現すればすごいこと」(同CEO)と割り切る。個別事業の見通しも開発がどの程度進むかによると慎重だ。

 「開発計画そのものに投資するつもりはない」とライス副会長。大型プロジェクトにかかわる多様な分野で受注を狙う一方、リスク回避にも細心の注意を払う。

 日本企業の関係者は「歴史があるだけにGEは中東ビジネスの見極め方がうまい」と評価している。 (Unquote)

では、この内容について考えてみよう。

当時の胡漢国際関係は大きく見るとこうなっていたと言える。

① モンゴル高原の覇権を、タタール部とオイラート部が東西に分かれて争っていた。

② 明はモンゴル高原の覇権を直接取りにいくことまではできなかったが、勢力下に置こうとしていた。

華北に拠点を置くシナ政権が胡漢関係における安全保障を追求する場合一般に言えることだが、シナ側は以下を目的とする。

優先順位1: モンゴル高原からの騎馬民部隊が直接農耕地帯まで攻撃してくるのを防ぐ。

優先順位2: 少なくとも、モンゴル高原が単一の政権の支配下に置かれてその勢力の矛先が南に向かわないよう、分裂状態を維持すること。

優先順位3: できれば、モンゴル高原を直接自らの支配下に組み入れること。

永楽帝は、思い切って3を指向したわけだ。